
海外に住んでいると、日本にいる親の入院や施設入居で身元保証人が必要になった際、対応に困るケースがあります。
経済的な支払い能力があっても、時差による連絡の難しさや、書類手続き、緊急時の駆けつけなどが理由で、海外在住の家族だけでは対応が難しいことがあります。
一般社団法人あんしんの輪では、海外在住のご家族や海外転勤を予定している方からの相談を受け、日本にいる親御さんの身元保証や施設入居・入院を支援しています。
この記事では、身元保証人の役割や必要になる場面、海外在住者が抱えやすい問題と解決方法を、実際の支援事例とあわせて解説します。
動画でも解説!「終活親子の田中さん」
海外在住のご家族を支援した実例
海外在住のご家族から実際にご相談いただき、身元保証や施設入居を支援した事例をご紹介します。
事例1|息子さんのアメリカ転勤に伴い、母親の身元保証を依頼
地域包括支援センターからのご紹介で、アメリカへ転勤する息子さんから、 施設入居を予定しているお母様の身元保証についてご相談をいただきました。
施設からは費用面の保証だけでなく、緊急時などに実際に駆けつけられる人が必要とされていました。 そこで、あんしんの輪が身元保証を引き受け、お母様が施設へ入居できる体制を整えました。
事例2|アメリカ在住の姪御さんから、認知症の叔父様の施設入居を相談
アメリカにお住まいの姪御さんから、日本にいる叔父様の施設入居についてご相談をいただきました。
費用面には問題がありませんでしたが、緊急時の駆けつけや、 万一亡くなった際の対応などを行える国内の保証人が必要な状況でした。
また、叔父様には認知症があり、ご本人だけで契約を進めることが難しかったため、 姪御さんを契約者、叔父様をサービスを受ける方(受益者)とする形で契約し、 施設への入居につなげました。
海外にお住まいで、日本にいる親御さん・ご親族の身元保証や将来の支援についてお困りの方はご相談ください。
お問い合わせ・ご相談はこちら海外在住のご家族からよくある質問
Q. 海外に住んでいても、日本にいる親の身元保証を依頼できますか?
はい、可能です。海外にお住まいのご家族とはZoomなどでオンライン面談を行い、 日本にいる親御さんとは必要に応じてスタッフが訪問し、面談や契約手続きを進めます。
Q. 親がまだ元気で自立していても相談できますか?
はい。現在は元気に生活されていても、 将来の入院・施設入居・緊急時に備えてご相談いただけます。 すぐに契約せず、まず必要になりそうな支援を整理することも可能です。
Q. 海外から相談する場合、どのように進めますか?
まずはメールやZoomなどで海外在住のご家族から状況を伺います。 その後、日本にいる親御さんへの説明や面談を行い、 必要な支援内容を確認したうえで契約手続きを進めます。
Q. 老人ホームがまだ決まっていなくても相談できますか?
はい。施設が決まる前の段階からご相談いただけます。 必要に応じて、施設探しのサポートや関連事業者のご紹介も行っています。
Q. 海外にいるため、親の緊急時にすぐ帰国できません。対応してもらえますか?
契約内容に応じて、急な入院や施設からの連絡、病院への駆けつけなどに対応します。 あんしんの輪では、緊急時には24時間365日の対応体制を設けています。
Q. 親が認知症でも相談できますか?
はい、ご相談いただけます。 ご本人の判断能力やご家族の状況によって契約方法が異なるため、 個別に状況を確認したうえで対応方法をご案内します。
Q. 東京以外に住んでいる親でも対応できますか?
東京都内をはじめ、埼玉県・千葉県・神奈川県の一部地域にも対応しています。 地域によって対応可否が異なるため、親御さんがお住まいの市区町村をお知らせください。
身元保証人の役割と責任範囲
| 役割 | 主な内容・責任範囲 | 債務・費用の肩代わり | 死後の対応 (遺体引取など) |
|---|---|---|---|
| 身元保証人 | 緊急時の連絡、契約代行、退院・退所支援など、契約上の責任を負う | あり ※契約範囲内 |
対応する |
| 身元引受人 | 日常的な連絡窓口や生活支援など。施設での生活をサポートする存在 | 原則なし | 対応する |
| 成年後見人 | 財産管理や法的な契約行為の代理権を持つ(家庭裁判所が選任) | なし (本人の財産から支払う) |
原則対応できない |
親が高齢になると、入院や介護施設への入居の際に「身元保証人」を求められる場面が増えます。特に海外在住者は保証人になりにくいため、まずはその役割と責任の範囲を正しく理解しておくことが大切です。
身元保証人が担う主な役割
身元保証人は、本人に代わって契約手続きを行い、緊急時の連絡対応や金銭面のサポートなど、複数の役割を担います。具体的には、入退院や施設入所の手続き、家族・親族への連絡調整、医療費や施設利用料の未払いへの対応、退院・退所支援、亡くなった際の遺体・遺品の引き取りなどです。
厚生労働省の「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」では、医療機関が身元保証・身元引受等に求める機能として、緊急連絡先、入院計画書への関与、入院中に必要な物品の準備、入院費等の支払い、退院支援、亡くなった際の遺体・遺品の引き取りといった役割が挙げられています。単なる「連絡先」ではなく、それ以上の責任を伴う立場だと理解しておく必要があります。
身元保証人が負う責任範囲
身元保証人の責任は、契約書に定められた範囲に限定されます。すべての債務を無制限に肩代わりする可能性がある連帯保証人とは、性質が大きく異なります。保証の上限額や保証期間は契約書の内容次第であり、法律で一律に決まっているわけではありません。だからこそ、署名する前に契約条件をしっかり確認することが極めて重要です。
なお、身元保証人と混同されやすい立場に「身元引受人」と「後見人」があります。身元引受人は、本人が施設や病院で生活するうえで日常的な連絡や支援を担う存在で、身元保証人ほどの債務負担は伴いません。後見人は、家庭裁判所の選任に基づき財産管理や契約行為を代理できる法的権限を持つ立場です。保証人は契約上の責任、引受人は生活支援、後見人は法的代理権と、それぞれ役割と責任の重さが違う点を押さえておきましょう。
日本に住む親の身元保証人が必要になる場面
親が高齢になると、医療・介護・住まいに関する契約で身元保証人を求められる機会が増えます。どんな場面で必要になるのかを具体的に把握しておきましょう。
病院への入院・手術時
日本の多くの病院では、入院や手術の際に身元保証人を求められます。緊急時の連絡や、入院費の未払いが生じた場合に備えるためです。
総務省の調査によると、病院・施設の9割以上が入院・入所時に身元保証人を求めているとされます。一方で身元保証人を立てられない高齢者が増えており、多くの医療機関・施設が対応に苦慮しているのが現状です。なお、手術や輸血、麻酔といった医療行為への同意は、基本的に身元保証人の権限には含まれないとされていますが、実際には同意を求められるケースもあるため、契約範囲を事前に確認しておくことが重要です。
介護施設・高齢者向け住宅への入居時
介護施設や有料老人ホームでは、入居契約時に身元保証人を求められるのが一般的です。施設側は、利用料の未払いや緊急時の対応を想定して保証人を必要とします。身元保証人は、費用の代行支払い、契約解除の手続き、医療機関との連携などを担うのが通常です。特に介護度が上がると入退院を繰り返すことが増えるため、身元保証人がいないと入居そのものを断られる可能性もあります。
賃貸住宅への入居や住み替えの契約時
親が賃貸住宅に住む場合も、身元保証人(または連帯保証人)が求められることが少なくありません。家賃滞納、原状回復費用の不払い、孤独死などのリスクを理由に、オーナーや不動産会社が条件とするためです。近年は家賃保証会社を利用できるケースも増えていますが、それでも緊急時の連絡先として身元保証人が必要になることがあります。
本人が亡くなった後の対応
親が亡くなった際には、遺体の引き取り、葬儀の手配、役所への届け出、医療機関や施設への精算などが必要になります。家族がすぐに駆けつけられれば問題ありませんが、海外在住だとこうした手続きに即座に対応できません。病院や施設からは通常24〜48時間以内の遺体引き取りが求められ、遅れると安置費用が発生します。対応できる人が不在だと施設側が手続きを進められず、トラブルの原因にもなります。
海外在住者が抱えやすい親の身元保証人問題
海外に住んでいると、親の身元保証人になりたくても、制度や実務の壁で難しい場面が多くあります。海外在住者ならではの問題点を整理しておきましょう。
海外在住だと身元保証人として認められにくい
多くの病院や介護施設は、身元保証人の条件として「国内在住の成人であること」を挙げています。緊急時や施設でのトラブル発生時にすぐ対応できる人が求められるためです。経済的な保証能力があっても、「時差や距離で連絡が取りにくい」「書類への押印ができない」「面談や説明の場に参加できない」といった理由から、海外在住者は保証人として認められないことがほとんどです。
家族・親族に頼みにくい
海外在住者の場合、日本国内に身元保証人を頼める親族が限られているケースも多くあります。一人っ子であったり、兄弟姉妹が高齢・病気・遠方などで引き受けられなかったりすると、甥・姪やいとこなど遠い親戚に頼めないかを検討することになります。しかし、遠縁への依頼は心理的な負担が大きく、「経済的負担や法的責任を負いたくない」と断られることも少なくありません。引き受けてもらえても、後々トラブルに発展するリスクがあり、安易には頼みにくいのが実情です。
急な入院・施設入居にすぐ対応できない
親が急に倒れたり、介護が必要になったりした場合、海外在住者はすぐに対応できません。緊急入院時には各種手続きや費用の立替えが必要になり、数時間〜数日以内に署名や支払いを求められることもあります。時差や距離の関係で駆けつけられないことは、病院や施設にとってもリスクとなり、手続きが滞る原因になります。事前に国内の受け皿を用意しておかないと、親が必要な医療や介護を受けられない事態にもなりかねません。
海外で暮らす日本人は約130万人
海外で生活する日本人は決して少なくありません。
外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると、2025年10月1日時点で海外に在留する日本人は129万8,170人でした。
国別では、米国が41万6,380人で全体の32.1%を占め、オーストラリアが10万5,566人、中国が9万2,928人と続きます。
海外勤務や移住が珍しくなくなる一方で、日本に高齢の親を残して生活する家族にとって、入院や施設入居、緊急時の対応を誰が担うのかは事前に考えておきたい問題です。
海外に在留する日本人は約130万人
2025年10月1日時点
海外に「永住」する日本人は10年間で約13万人増加
海外で暮らす日本人の中には、数年間の転勤だけでなく、海外に生活基盤を移して長期間暮らす人も増えています。
外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると、海外に住む日本人のうち「永住者」は、2015年の457,084人から2025年には588,486人へ増加しました。10年間で約13.1万人、約29%の増加です。
一方、海外在留邦人全体の人数は、2015年の約131.7万人から2025年の約129.8万人と大きくは変わっていません。海外在留邦人に占める永住者の割合は、約34.7%から約45.3%へ上昇しています。
海外での生活が長期化する場合、日本にいる親の支援についても、「数年間だけ何とかする」のではなく、入院・施設入居・緊急時・死亡後まで含めた長期的な体制を考えておく必要があります。
海外在留邦人に占める「永住者」の割合
2015年と2025年の比較
永住者は10年間で約13.1万人増加し、海外在留邦人に占める割合も約35%から約45%へ上昇しています。
家族がいることと、「国内で支援を受けられること」は別
「子どもが海外にいるだけで、身寄りがないわけではない」と考える方もいるかもしれません。
しかし、医療現場では「家族がいるかどうか」だけではなく、実際にその家族から支援を受けられるかどうかが重要になります。
厚生労働省の「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」では、支援対象として、身寄りがない人だけでなく、**「家族や親類へ連絡がつかない状況にある人」や「家族の支援が得られない人」**も想定されています。
海外在住の家族がいるすべてのケースがこの対象になるわけではありませんが、家族が海外にいて緊急時の駆けつけや日常的な支援が難しい場合には、実務上は同じような課題が生じることがあります。
そのため、「家族がいるから大丈夫」と考えるのではなく、日本国内で誰が具体的な支援を担えるのかまで整理しておくことが重要です。
厚生労働省ガイドラインが想定する支援対象
家族が存在することと、入院時などに実際の支援を受けられることは別の問題として整理されています。
一人暮らし高齢者の「死亡後の対応」は社会的な課題になっている
海外に家族がいる場合、親が亡くなった後にすぐ帰国できるとは限りません。
日本では、一人暮らしの高齢者が自宅で亡くなった後の対応そのものが、大きな社会的課題になっています。
内閣府の高齢社会白書によると、東京23区内で、一人暮らしの65歳以上の方が自宅で亡くなった人数は、2023年に4,957人でした。
また、65歳以上を対象とした内閣府の調査では、孤立死について「とても身近に感じる」「まあ身近に感じる」と回答した人を合わせると48.7%に達しています。
これらの数字は、海外在住の家族を持つ高齢者だけを対象としたものではありません。
しかし、家族がすぐに駆けつけられない場合には、葬儀、遺体の引き取り、住居の整理、行政手続きなどを誰が行うのか、元気なうちに決めておくことが重要です。
一人暮らし高齢者と「死亡後」の課題
東京23区・一人暮らし65歳以上
自宅での死亡者数(2023年)
4,957人
孤立死を「身近に感じる」
65歳以上の割合
48.7%
※海外在住の家族を持つ高齢者に限定した統計ではありません。
出典:
内閣府「令和7年版 高齢社会白書」
海外在住者が親の身元保証人問題を解決する方法
| 解決策の選択肢 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| ① 国内の親族・知人に頼む | 費用がかからず、気心が知れているため心理的な安心感がある。 | 負担が大きいため断られやすい。後々、親族間トラブルに発展するリスクがある。 |
| ② 身元保証サービス (サポート事業者) |
物理的に動けない海外在住者の「駆けつけ・死後事務」を完全にカバーできる。 | 入会金や預託金など、一定の費用が発生する。信頼できる業者選びが必須。 |
| ③ 専門家に依頼 (弁護士・行政書士) |
法的権限(財産管理や任意後見など)を含めた強固なサポートが得られる。 | 継続的な報酬が発生するため総費用が高くなりやすい。物理的な駆けつけは対象外のことも。 |
| ④ 保証人不要の施設を探す | 身元保証人を用意する手間や費用が省ける。 | 選択肢が極めて少なく、待機期間が長い。前払い金が多くなるケースがある。 |
| ⑤ 自治体窓口に相談する | 中立的な立場で、地域の情報や公的支援制度を教えてもらえる。 | あくまで「相談・紹介」がメインであり、行政が直接保証人になってくれるわけではない。 |
海外に住んでいても、適切な準備と対策により親の身元保証人問題は解決できます。複数の選択肢を理解し、状況に応じて組み合わせて考えましょう。
国内の親族・知人に相談して依頼する
国内に頼れる人がいる場合、最も現実的なのは信頼できる親族・知人への依頼です。ただし相手の負担を考えた丁寧なアプローチが欠かせません。依頼時には、親の状況、身元保証人の具体的な責任範囲、想定される費用負担、緊急時の対応内容を明確に説明します。お礼や謝礼についても事前に相談し、海外移住前や一時帰国時に直接会って話し合うと、信頼関係を保ちやすくなります。病院や施設によっては、連絡担当と費用担当を分けて複数人を登録できることもあるため、一人に負担が集中しない工夫も有効です。
身元保証人代行サービス(高齢者等終身サポート事業者)の利用
近年、身元保証を代行する法人やNPO(高齢者等終身サポート事業者)が増えており、国内に頼れる人がいない海外在住者にとって有力な選択肢となっています。契約者(本人や家族)と保証契約を結び、病院や施設に対して保証人として対応してくれる仕組みです。申込時には本人確認書類や住民票、収入・資産を証明する書類などを提出し、入会金・月会費・保証金などを支払う形で契約します。
選ぶ際は、事業継続年数や実績、預託金の管理方法、24時間・夜間緊急時の対応体制、サービス範囲と費用の内訳、解約時の返金規定などを必ず確認しましょう。国が定めた「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を踏まえた運営がなされているかも、信頼性を見極める一つの目安になります。海外からの連絡手段や緊急時の連絡体制についても、契約前に確認しておくと安心です。
弁護士・行政書士など専門家への依頼
保証人の代わりに、弁護士や行政書士と委任契約を結び、代理権を持たせる方法もあります。委任状の作成、公正証書による包括的な委任契約、財産管理契約、医療に関する事前指示書の作成など、依頼できる内容は多岐にわたります。高齢者問題や成年後見制度に精通した専門家を選び、海外移住前や一時帰国時に対面で打ち合わせを行いましょう。安心感が大きい反面、報酬が継続的に発生するため、長期利用の総費用を試算しておくことが大切です。また、対応できる業務範囲を事前に明確にしておく必要があります。
身元保証人不要の介護施設を探す
一部の社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームや、有料老人ホームの一部では、身元保証人不要で入居できる場合があります。各自治体の高齢者福祉課や地域包括支援センターへの相談、介護施設紹介センターの活用などで情報を集められます。ただし、要介護度や所得などの入居条件が厳しかったり、待機期間が長かったりすることが多く、保証人不要の代わりに預託金や月額利用料の前払いを求められる場合もあります。医療対応や看取りの可否など、サービス内容の制約も含めて確認が必要です。
自治体の高齢者サポート窓口に相談する
市区町村の高齢者福祉課や地域包括支援センターに相談すると、身元保証の代行サービスや支援団体を紹介してもらえる場合があります。自治体によっては独自の高齢者支援制度を設けていることもあります。ただし、支援制度の有無や対応範囲は自治体によって差が大きく、都市部と地方でも提供内容が異なります。制度は年度ごとに変わることも多いため、親が住む地域の窓口に直接問い合わせて、最新の情報を確認するのが確実です。
【事例紹介】海外在住のご家族からの相談と対応
ここでは、実際に海外在住のご家族から身元保証の相談を受け、当法人「一般社団法人あんしんの輪」で対応した事例を2件紹介します。いずれも個人が特定されないよう内容を一部変更していますが、海外在住者が直面しやすい典型的なケースです。
事例1:息子さんのアメリカ転勤にあたり、母親の身元保証を依頼
1件目は、地域包括支援センターからのご紹介で相談をいただいたケースです。日本在住の息子さんがアメリカへ転勤することになり、近いうちに施設入居を予定しているお母様の身元保証を依頼したい、というご相談でした。
このケースでも、施設側からは「費用を支払えるだけでは足りず、実際に駆けつけられる人が必要だ」と伝えられたそうです。海外に転居する息子さんだけでは、この「駆けつけ」の役割を果たせません。そこで最終的に、身元保証を担う事業者として当法人が入る形で対応し、施設側が求める体制を整えることができました。経済的な問題がなくても、物理的に対応できる国内の受け皿が求められる——という、海外在住者が直面しやすい現実がよく表れた事例です。
事例2:アメリカ在住の姪御さんから、日本の叔父様の施設入所の相談
2件目は、現在アメリカにお住まいの姪御さんから、日本にいらっしゃる叔父様についていただいたご相談です。叔父様が日本の施設に入所するにあたり、お金の面では問題がないものの、緊急時に駆けつけたり、万一亡くなった際の後片付けなどに対応できるよう、日本国内の保証人をつける必要がある、というものでした。
叔父様は認知症を患っていらっしゃったため、契約にあたっては工夫が必要でした。そこで、お支払いなどを行う契約名義を姪御さんとし、実際にサービスを受ける受益者を叔父様とする形で契約を結びました。この形にすることで、無事に施設へ入居していただくことができました。ご本人の判断能力が低下している場合でも、海外在住のご家族が契約主体となることで対応できる——という一例です。
このように、「支払い能力はあるが、国内で実際に動ける人がいない」という海外在住者ならではの課題に対して、身元保証サービスは有効な受け皿になります。ご家族の状況や、ご本人の判断能力の程度に応じて、契約の組み立て方を柔軟に設計できる点も特徴です。
身元保証を依頼するための事前準備
海外在住者は緊急時にすぐ動けないため、事前の準備が何より重要です。必要書類や役割分担を早めに整理しておきましょう。
必要書類・証明書を把握しておく
身元保証の申請では、申請先によって異なるものの、さまざまな書類が求められます。親(被保証人)側では、本人確認書類、住民票、介護保険被保険者証の写し、健康診断書、年金通知書などの収入を証明する書類などが一般的です。保証人側では、本人確認書類、住民票、印鑑証明書・実印、課税証明書や納税証明書などが求められることがあります。書類には有効期限があるため、一時帰国のタイミングなどを利用して、親が準備できるものは早めに揃えておくのが理想です。
海外在住者の場合、日本の印鑑証明書や住民票を用意できないことも多く、委任状へのサインについて在外公館(大使館・領事館)での署名証明が必要になる場面もあります。契約先の事業者に、海外在住でも対応可能な書類の形式を事前に確認しておくと、手続きがスムーズです。
費用や役割分担を明確にしておく
身元保証には、未払い費用の立替えや各種手続きの負担が発生する可能性があります。「どの費用を誰が負担するか」「予想外の高額費用が生じた場合にどう対応するか」を、事前に話し合っておきましょう。緊急時の対応、親族への連絡調整、書類の管理などの役割を家族・親族・事業者の間で分担しておくと、一人に負担が集中するのを防げます。海外在住者は、時差を前提とした連絡手段(メール・チャット・国際電話など)や、費用の送金方法についても、あらかじめ取り決めておくと安心です。
海外からでも安心して親を支えるために
海外在住者にとって、親の身元保証は悩ましい課題です。しかし、役割や必要な場面を正しく理解し、親族への依頼・身元保証サービスの利用・専門家への依頼・保証人不要施設・自治体窓口といった選択肢を組み合わせれば、海外にいながらでも親を支える体制を整えられます。
特に、「支払い能力はあっても、国内で実際に動ける人がいない」という海外在住者ならではの課題には、身元保証サービスが現実的な受け皿になります。紹介した2つの事例のように、ご家族の状況やご本人の判断能力に応じて契約を柔軟に設計できるため、まずは早めに相談し、選択肢を把握しておくことが大切です。急な入院や施設入居に慌てないためにも、親が元気なうちからの準備をおすすめします。
「あんしんの輪」では、海外在住のご家族からのご相談にも対応しています。日本にいる親御さんの身元保証や施設入居について不安がある方は、お気軽にご相談ください。
参考資料
※本記事は一般的な情報をまとめたものであり、実際の契約内容や条件は状況により異なります。詳細は各施設や契約先、専門家、各自治体にご確認ください。
