【高齢者向け】身元保証人とは？役割～頼める人がいない場合の対処法まで丸っと解説

身元保証人を求められて、「誰に頼めばいいの？」「頼る人がいない場合はどうしたらいい？」と、お困りの方もいらっしゃるでしょう。

身元保証人とは、就職や転職により採用が決定した人が、入社時に企業から『身元保証書』として提出を求められることで知られています。

そのほか、病院へ入院する時や、介護施設へ入所する時など、所定の書類へ住所や名前や連絡先などを記入してもらい、契約先へ提出するのが一般的です。

実は、身元保証人に関しては、1933年10月1日に施行された「身元保証法（身元保証ニ関スル法律）」という、古くからの法律があるのをご存知でしょうか。※出典：昭和八年法律第四十二号 身元保証ニ関スル法律（e-GOV法令検索）

さらに、2020年4月1日施行の「民法の一部を改正する法律」によって、保証に関する規定が変更されました。※出典：2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わります（法務省）

つまり、身元保証人に関して法律違反やトラブルにならないためには、2つの法律を把握したうえで、契約内容をしっかりと確認しなければなりません。

とはいえ、法律となると難しそうで、理解できるかどうか、不安に感じる方は多いでしょう。

そこで本記事では、知っておくべき法律のポイントを押さえて、身元保証人の役割や、頼める人がいない場合の対処法まで、分かりやすく解説いたします。

身元保証人とは、「信用のある人物」という身なりを証明するにあたって、契約主に対して担保となる債務や損害賠償を保証する第三者の存在のことをいいます。

たとえば、企業での雇用契約では、問題社員となる従業員が不正や損害を発生させた場合の損害賠償を代行する目的で、「身元保証書」を提出することが一般的です。

身元保証書には、氏名・住所・連絡先・本人との関係・記入日などを身元保証人が自ら記入しなければなりません。

また、病院や介護施設では「誓約書」として提出する場合や、万一の際に本人の身柄を引き受ける「身元引受契約」として、身元保証人を求められるケースもあります。

高齢者で身元保証人が必要になるケースについて、一般的によくある順序でご紹介します。将来のためにも確認しておきましょう。

1. 病院への入院時
2. 介護施設への入居時
3. 賃貸契約時

病院によっては連帯保証人が求められるケースもありますが、病院の多くでは、入院する際に身元保証人が必要になります。

2022年の調査によると、東京・神奈川・埼玉の病院・介護施設1,198ヶ所において、「身元保証人等を求めている」と回答したのは1,107 か所と、92.4%にも及びます。※出典：高齢者の身元保証に関する調査（総務省関東管区行政評価局）

医療やサービスの提供にあたって、病院では医者や看護師への報酬や、施設・設備を維持するための費用が不可欠です。

患者からの手術代や入院費の支払いが滞ると、他の入院患者へも迷惑をかけることになりかねないため、その担保として連帯保証人や身元保証人が必要となります。

前述のとおり、老人ホームなどの介護施設への入居にあたっても身元保証人が求められるケースは多くあります。

公的な特別養護老人ホームでは身元保証人が不要な場合がありますが、要介護3以上など入居条件があるほか、希望者が多いためすぐに入居できるとは限りません。

また、身元保証人が不要な有料老人ホームでは、前払金の支払いが必要であったり、月額の料金が割高に設定されていたりと、費用負担のリスクを伴うことが多いです。

住まいとなる賃貸住宅の契約を行う際は、基本的に連帯保証人が必要となり、中には2名分を求められるケースもあります。

また、高齢者の賃貸契約では、緊急連絡先や、身柄の引き受けや退去手続きをしてもらえる第三者として、身元保証人や身元引受人が必要になるのも一般的です。

保証人が不要の賃貸物件もありますが、入居時に保証料が必要になることや、月額の賃貸料金が相場より割高に設定されているケースが目立つため、ご注意ください。

2020年4月の民法改正により、身元保証契約では、損害賠償額の上限を表記することが定められました。これによって、身元保証人のリスクは大幅に軽減されています。

一方で、法律上、身元保証人には本人が責任を問われる可能性を知る権利や、契約を解除する権利があるため、契約後も油断できないことを知っておきましょう。

病院へ入院する際、身元保証人が求められる役割についてご紹介します。

• 入院時や退院時などの各種手続き
• 緊急の連絡先
• 医療費の支払い
• 入院計画書や治療方針への同意
• 医療行為への同意
• 必要品の準備
• ご遺体や遺品の引き取り

介護施設へ入居する際、身元保証人が求められる役割についてご紹介します。

• 入居時や退居時などの各種手続き
• 緊急の連絡先
• 施設利用料の支払い
• 介護やケアプランの同意
• 必要品の準備
• ご遺体や遺品の引き取り
• 居室の明け渡し

賃貸契約を締結する際、身元保証人が求められる役割についてご紹介します。

• 滞納した家賃の支払い
• 汚損の原状回復費用の支払い
• 損傷や損壊における損害賠償
• 緊急連絡先
• ご遺体の引き取りや不用品の処分と住まいの明け渡し

身元保証人になれるかどうかは契約主によって判断されますが、高齢者の場合なら、次の5つの条件を満たした「子供」や「孫」へ依頼することが理想です。

• 年齢が成人に達している
• 安定した一定の収入がある
• 本人と生計を別にしている
• 血縁者にあたる親族が理想
• 反社会的団体と関わりがない

社会的に責任を負える立場にあり、自力で生計を営む自活力がある人、本人の不正に対して抑止力のある人が好ましいといえるでしょう。

子供や孫がいない方や、身元保証人を頼めない場合でも、次の『3つの対処法』によって解決できるため、どうぞご安心ください。

1. 身元保証人が必要ない場所を探す
2. 成年後見制度を利用する
3. 身元保証サービスを利用する

資金力があり費用負担が苦にならなければ、身元保証人が必要ない病院や介護施設、賃貸物件を探すことが可能です。

病院や介護施設や賃貸住宅では、保証金や預託金を先払いしておくことで、必要費用を補償してもらえる場合があります。

通常、これらの費用は退院や退去の際に清算して、余剰があれば返金してもらうことが可能です。

また、保証会社と提携している場合もあり、利用者は提携先の保証会社と契約することによって、身元保証人が不要になるケースもあります。

ただし、条件や費用は契約先によって異なるため、事前に複数の候補を検討して比較するとよいでしょう。

身元保証人がいない場合の対処法として、認知症の対策としても優位な「成年後見制度」を利用するのも一つの方法です。

成年後見制度とは、高齢者が苦手な契約や手続き、お金の管理に関して、裁判所が認めた成年後見人により法律的に支援してもらう制度のことをいいます。※出典：成年後見制度とは（厚生労働省）

ただし、成年後見人は、身元保証人や身元引受人になることはできません。

病院や介護施設や賃貸住宅では、信頼できる成年後見人がいることに意義があるとみなすケースがあるため、あくまでも「優位になる」という対処法です。

身元保証会社が提供している「身元保証サービス」を利用すると、企業へ身元保証人になってもらうことができます。

身元保証サービスの多くは、病院への入退院や介護施設への入退居で必要になることや、引っ越しのお手伝いなどが組み込まれたプランとして提供されています。

病院や介護施設への付き添いや必要品の買い出しなど、高齢者にとって便利なサービスが多いことが特徴で、個人同士では頼みにくさがある方も企業相手なら安心です。

身元保証サービスの内容や費用は、企業・団体によって異なりますが、一般的な契約金の相場費用は30〜50万円程度（入会金・月額費用別途）となっています。

快適な環境で過ごすために、病院や介護施設や賃貸物件を「自由に選びたい」と考えるのは、ごく自然なこと。決してわがままではありません。

安心した療養や暮らしができるよう、場所選びを最優先にしたい方にとって、身元保証サービスは最適な選択肢といえます。

身元保証人を特定の個人へ依頼した場合、万一の緊急時に連絡が取れないことや、都合によって対応ができないこともあるでしょう。

身元保証人が企業や団体の場合は、組織的に個人を守る体制が整っているため、万全な対応力に安心感があります。

身元保証人は子供や親族など、身内であっても頼みにくいと感じる方が多いため、友人・知人となっては引け目を感じる方が多いと思います。

身元保証サービスを提供している企業や団体なら、臆することなく依頼することができ、後々まで気遣いが不要です。

多くの身元保証サービスでは、高齢者にとって便利な支援サービスがお得なセットプランとして提供されています。

より安全・安心な日々を送るためには、費用のみならず、プラン内容までしっかりとご確認ください。

高齢者を狙った詐欺や悪徳商法などの犯罪に巻き込まれないよう、身元保証サービスでは、次の4つの事項にご注意ください。※出典：身元保証等高齢者サポートサービスの利用に関する留意事項について（消費者庁）

• 自分の希望を伝えて、サービス内容や費用をしっかりと確認する。
• 事前に預託金の用途や、解約時の返金に関する条件を確認する。
• 契約内容に関して、できるだけ周囲の人に確認してもらうようにする。
• 契約や解約に際してトラブルになった場合は、最寄りの消費生活センターへ相談する。

あんしんの輪では、一人ひとりのご要望やお困りごとに合わせて、専門家が最適な解決策をご提案させていただいております。お気軽に『無料相談』をご利用ください。